ご覧頂きありがとうございます。神戸のリペアショップ「stuts(studio nuts)」です。

さて、今回は革と野球について少し雑談をさせて頂きたいと思います。

スポーツ用品には様々な用具に革が使われていることが多いですよね!
例えば、サッカーのボールや各スポーツのスポーツシューズなどなど。近頃は扱いやすさや、軽さなどから人工皮革やプラスチックと様々な素材が使用されていますが、そんな中でも野球の用具に関しては天然の革を使用している用具が多いです。

 

【硬式野球ボール】

硬式の野球ボールにも天然の皮革が使用されています。
まず野球ボールの芯にはゴムやコルクといった芯材が使われていて、その周りに120~125m程のウール糸と、170~190m程の綿糸がぐるぐる巻きになっています。
その上に、テレビ中継などでお馴染みの白い皮革を貼り付け、赤い糸で縫い合わされているんだそうです。

昭和37年までは牛革を使用して作られていましたが、手触りや感触の問題から昭和38年~48年までの間は馬革を使用していたことがあるんだそうです。
しかし、牛1頭からは160個のボールが取れるのに対し、馬革ではその半分の80個ということで昭和49年からは再度牛革を採用することになり、野球規則にも牛革を使用する旨が記載されています。

硬式の野球ボールには白色の革が使われるため白鞣しという方法で鞣された革が使われています。

また野球ボールには品質の基準が定められていて、高校野球では4メートルの高さから大理石に落下させ、136~140cmの跳ね返りがあること。
プロ野球では、「飛ぶボール」や「飛ばないボール」など一時期話題になりましたが、規則では75m/sのボールが鉄板に衝突した時の反発係数が0.41~0.44の間に収まることとされているそうです。

 

【野球グローブ】

野球のグローブは、1875年頃アメリカで考案されたとされています。
最初は素手でボールを捕球していましたが、あまりの痛さにその痛みを緩和するために開発されたんでそうです。
ちなみに、開発当初はグローブを着用することは女々しいものとされていたんでそうです。(その男気何なんですか!!)

野球のグローブの部品の大半は、馴染みやすさや強度の面から牛革が使用されています。
特に、適度な柔軟性と腰がある北米のステアは野球グローブに最良と言われています。
グローブの各パーツには、それぞれ向いている牛の部位があり、

●受球面:強度があり、なめらかで伸び縮みの少ない背中
●背面:若干伸び縮みをする尻、肩、腹
●裏地:硬くて皺の多い首
●ウェブ(親指と人差し指の間の編み込んである箇所):スジが多い頭、両足

となっているんだそうです。

イチロー選手など、1流の野球選手は用具の手入れも欠かさないんだそうですが、革素材の野球グローブもメンテナンスは必要不可欠です。
革のお手入れ自体は他の革製品と大きな違いはありませんが、練習などで多くの汗を吸収するグローブは、使用後汚れなどを落とし、日陰で十分に乾燥させてからオイルなどを塗り込むと長持ちします。
以前は手入れのためにアマニ油が使われていたそうですが、グローブが硬くなり、ひび割れが発生する場合もあるので注意が必要になります。

 

参考文献:「皮革ハンドブック」 編集:日本皮革技術協会 発行:樹芸書房