ご覧頂きありがとうございます。神戸のリペアショップ「stuts(studio nuts)」です。

さて、革製品やレザーと聞くとどうしてもヨーロッパや北米を想像してしまうのは私だけでしょうか?

例えば、一流ブランドと呼ばれるようなファッションブランドや高級靴と言うとイタリアやフランス、イギリスなどが真っ先に想像出来ます。
また、武骨なワークウェアやワークブーツなどはアメリカやカナダといった地域を思い出します。

そんなイメージの革製品ですが、ここ日本でもしっかりと革文化が存在し、それぞれの地域にそれぞれの特色を持って発展してきました。
今回は、そんな日本の革文化をちょっとだけご紹介したいと思います。

【日本の革】

ヨーロッパなどに比べますと、日本の革文化はまだまだ歴史が浅く、技術としては100年くらい遅れているなんて言われることが多いですが、それでも日本の革文化としては1000年以上の長い歴史があります。
現在の革加工技術も、はじめは海外から入ってきたモノでした。
もちろん、それ以前にも日本独自の加工技術は存在していましたが、現在主流になっているような技術は他の科学技術などと同様に諸外国から伝わった技術だったんです。
そこから、甲冑に使われるような革の染色技術など、独自の文化、技術が発展していくことになりました。
日本のそれぞれの地域においても、その気候や風土といった様々な要因から地域ごとに独自の革文化を発展させていくことになります。
例えば、革の加工には大量の水が必要です。
そのため、関東では荒川や隅田川など水資源が豊富な浅草などといった地域、関西では大きな市川が流れ、海にも近い姫路といった地域が地場産業として革文化が発展していきました。
特に、浅草や姫路は現在でも革の産業として有名な地域ですよね。

 

【日本全国の革事情】

●北海道・東北
北海道ではアイヌの文化が栄えたため、アザラシといったような獣皮や鮭などといった魚類の革が衣服などに利用されてきました。
また東北の福島や山形といった地域は、地場産業として履物の製造が有名です。

関東
革製品の生産量は国内でもトップクラスの地域です。
特に革産業として浅草は大変有名で、隅田川沿いなどには革の加工をするタンナーさんの工場が多くあります。
また、せんべいで有名な埼玉県の草加市も水資源が豊富だったため、戦後にかけて革産業が大きく発展しました。

●中部
江戸時代中期頃に伝わり、インドの装飾皮革から発展した甲州印伝が有名で、現在でも人気の高い革となっています。
甲州印伝は、鹿革に漆やふすべ技法で模様をつけた革を言います。

●近畿
兵庫県は姫路の革なめしは大変有名で、なめし工場や革に関連する事業所は群を抜いて多い地域です。
また、同じ兵庫県では豊岡は鞄の街として知られており、日本の鞄の7割が豊岡で製造されているそうです。
その他にも、神戸や大阪にも靴の製造や、革の加工として独自の文化を発展させた地域が多く存在します。

●中国・四国
四国は、皮革の産業に適した気候をしているため、革手袋や野球のグローブなどの生産が盛んに行われています。
また、日本刀の産地でもある中国地方はエイの革を輸入して刀の柄などに加工してきました。

●九州
外国からの玄関口になってきた九州は、初めて革の技法が伝わった地と言われています。
北九州市は女性向けの履物の製造の産地として有名で、馬肉でも知られている熊本は革の原料でもある馬の産地としても知られています。

 

簡単にではありますが、日本全国の革産業を紹介してみました。
これ以外にも、日本全国に革製品に関連した産業が盛んな地域は多く存在しますので、気になる方は調べてみてはいかがでしょうか?

 

参考文献:「日本の革vol.4 枻出版社」