!!一枚革からのオーダーレザー袴の黒革に、白いシミのようなものが浮き出てきた!!

ご覧頂きありがとうございます。神戸のリペアショップ「stuts(studioNUTS)(スタッツ(スタジオナッツ))」です。

本日はオーダーレザー袴に発生した、白い浮きジミのご相談を頂きましたのでご紹介致します。

【データ】
ブランド/製品名:フルオーダーレザー袴
製品種別:メンズ袴
カラー:ブラック
現在の状態:全体に白い浮きジミ
ご依頼内容:シミの補色、全体メンテナンス

※施工後のブログはこちらからどうぞ!!

【before】

本日はフルオーダーで作られた、メンズのレザー袴の白い浮きジミについてのご相談です。

レザーの袴。私、初めて拝見しました!
修理経験の長い私の革の師匠も、やはりレザー袴を見るのは初めてだそうです。
めちゃめちゃカッコいいです!!
しかもですよ!!!革を一枚革で購入し、フルオーダーで作られたそうです。
だめだ…カッコイイ!しか出てこないです。笑

「このタグ、取らないでそのままにしておいて欲しいです」とお客様に言われ見てみると…
革の半裁量を示すタグ!!

ここで、革のマメ知識発動!
革の半裁とは、牛の体を背中側から切り分けた半分の革の事です。だいたいの革屋さんはこの半裁を1単位として販売してくれます。
タグの端がめくれて見えないのですが、「289ds」と記載されています。
この「ds」とは革の大きさを示す独自の単位で「デシ」と読みます。
1ds=10cm×10cmの正方形で、100㎠になり、289dsとはこの正方形が289個分の大きさの革、という事になります。

このような袴のように、一枚で使う面積が大きいと牛が元々持っていたキズなどを避けることが難しく、キズの少ない高価な革を半裁で購入することになります。
(ちなみに、革にあるキズ部分でも1dsと換算されてしまうのです…)
人間でもそうですが、歳を重ねるごとにキズは増えていくもの。
289dsといったら、立派な成牛の半裁の大きさです。キズが少ないものだとどうしても高価な革に。

以上、革のマメ知識でした!

この度のご相談の白い浮きジミですが、お見受けしたところ「ロウ」のようです。
もし汗などの水分から起こるシミだとしたら、こんなに全体的に均等に出ないはずです。
また、どう見てもカビでもないです。
「ブライドルレザー」と呼ばれる革があるのですが、何度も丁寧にロウ引き(ロウを塗り込んでいく加工)をされた革で、白くロウが浮き出してくる特徴があり、その状態に近いのです。
浮き出た白いロウを拭き取り磨くと、ツヤが出てきます。
お客様にそのことを確認すると、革を購入する際にそこまでの説明は無かったとの事ですが、ツヤが出るのは好みではないと教えて頂けました。
さらに、深みのある黒にしたいとのご要望も頂きました。

まずは過剰なロウをしっかりと除去し、白ボケの少ない深いブラックでの補色、その後マットなコーティングをさせて頂くことになりました。

さて、こちらのフルオーダーの袴がどのような仕上がりになるかはまた後日ご紹介致します。

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