ご覧頂きありがとうございます。神戸のリペアショップ「stuts(studio nuts)」です。

雨・・・最近多いですね。
台風ブームも少し落ち着き、昨日は久々に晴れ!でしたが、また今日は雨のようです・・・。
雨の日って、バッグ・靴が濡れちゃって嫌ですよね~。
特にそれが革製だと、とっても気を使っちゃいます。
革の雨染みって、なかなか取れるものではないです。
びしょびしょに濡れてしまうと、革のその部分が膨らんでしまったり、変形してしまったり・・・。
こうなると修理でも「お手上げ」の状態です。
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コレ、私のお財布です。川に落としてしまい、シミだらけでガチガチに・・・泣

ということで、革の修理屋stuts(studio nuts)として、少しでも革製品を雨から守る方法を皆様にお伝えできれば!と思います。
まず、水に弱い革を雨から守る方法は下記になります。

 1.撥水剤をこまめにしておく。

 2.油性の皮革用保湿オイルを塗る。

 3.表面に薬剤を使ったロウ加工・エナメル加工などを施す。

3の加工は、もうご自宅では出来ない加工です・・・。
当店では「エナメル製品の再塗装」も得意とさせて頂いておりますが、とても高度な技術が要求されるお修理です。
なので、ご自宅でも可能な1と2を詳しく説明させていただきますね!

☆では、撥水剤(防水剤)のご説明から。☆
フッ素系の防水スプレーやクリームなどを使用します。
大手メーカーさんから様々な皮革用防水スプレー・クリームが出ており、革製品ならだいたい一か月に1回を目安に塗布してください。
フッ素樹脂と撥水剤でコーティングするものなので、使用とともに剥がれ落ちて行きます。
なので、とても使用頻度の高い革製品には2~3週間に一回塗布するぐらいの方が良いかもしれません。

お手軽なのはスプレーですが、撥水剤は吸い込んでしまうととーっても人体に危険なものです!
余談ですが、当店でも撥水加工をやらせて頂いております。
これは、うちの店長が皮革の修理をやり始めた頃のお話です。
防毒マスク着用で、しっかり換気しながら施工しているつもりだったそうですが、翌日高熱を出して寝込みました。
他の皮革修理の方に聞いてみても、同じような事があり、病院で点滴を受ける状態に・・・。
まあ、市販の防水スプレーよりも強力な撥水剤で、「スプレーガン」というものを使用し広範囲に吹き付けるので危険度も上がるのですが・・・。
皆様もご自宅で防水スプレーを使う際には、十分すぎる換気を心がけてくださいね!

☆次は油性の皮革保湿オイルについて。☆
革は元々生きていた「皮」です。
たくさんの細かい繊維層があり、その中に水分や油分が含まれる状態で形成されています。
「革」の製品を使い続けていると油分が抜けてゆき、油分で守られていた水分もどんどん蒸発していきます。
細胞のターンオーバー(生まれ変わり)はしないけど、生きている「皮」と理論は一緒なんです。
女性がお肌を化粧水やクリームでお手入れをすることと同様、「革」もお手入れしてあげないと老けちゃいます!
乾燥してガサガサになり、傷が付きやすく、いずれは破れたり千切れたり。

なぜオイルでの保湿が雨や水濡れに有効か?というところなのですが、乾燥している革は水を吸いやすい状態。
そして、革は加工する際に「なめし剤」や染料を使っています。
乾燥して奥深くまで水を吸い込むことで、上記の薬剤や染料の分子が水の分子によって動かされます。
分子が動く?というと分かりにくいかもしれませんが、均等に並んでいた色が固まったりばらけたりすると、そこだけ色が濃く見えたり薄く見えたりするイメージです。
水の分子は均等な色をぐちゃぐちゃにして、また蒸発していきます。
これが「革」における水シミの正体です。

オイルでまめにお手入れしている革は、中まで潤っているので水を吸い込みにくくなります。
水がかかってもすぐに拭き取れば、シミになりにくい状態なんです!
雨が多い季節に関わらず、定期的にオイル保湿してあげると水にも強いし、いつまでも若々しい革でいてくれるので良いことづくめですよ☆

「オイルレザー」という物をご存知でしょうか?
その名の通り、オイルをたっぷり含ませた皮革の事です。
PARABOOT(パラブーツ)やDr.Martens(ドクターマーチン)、BIRKENSTOCK(ビルケンシュトック)などがこのオイルレザーを使った商品を多く取り揃えています。
と言ったら、どんな感じの革かご想像頂けましたでしょうか?
加工の段階でしっかりオイルが入っている革なので、オイルレザーを使っている製品は比較的水に強いです。

!革の防水対策をするときの注意点!
上記でご紹介した2つの方法、実は素材によって向き不向きが出てきます。
例えば、油分たっぷりの「オイルレザー」は防水スプレーをしても効果がない場合も!!
表面をオイル加工・ロウ加工していると防水スプレーのフッ素樹脂が定着しません。
使用年数が1年以上になると表面加工も擦れて無くなってきますので、そのぐらいの時期には防水スプレーも有効になってきます。
それでもスプレー前にはオイル保湿してあげてくださいね♪

逆に革の表面にしっかり顔料で着色してあるもの(革表面の上に一枚色の層がある状態)は、オイル保湿がしにくいのでオイルの量の調整が難しく、たくさんのオイルで保湿しようとするとヌルヌルになってしまいます。
これも日頃の保湿はしていただきたいのですが、さっと防水スプレーする方が楽ですね。

あと、エナメル・パテント加工された革製品には防水スプレーは絶対にしないでください!
せっかくの美しい光沢が、フッ素樹脂でくすんでしまいます!

「革の防水対策や保湿、自分でするのが怖いな、難しいな・・・」
そんな時は迷わずプロにご相談ください!
当店でも皮革に関するご質問・ご相談は無料でさせて頂いております。
stuts(studio nuts)オリジナルの合成剤不使用の保湿オイルもございますので、気になる方は下記リンクからチェックしてみてくださいね☆