ご覧頂きありがとうございます。神戸のリペアショップ「stuts(studio nuts)」です。

今回は、バッグの裏地についてお話ししようと思います。
バッグ裏地で困っている方は大変多く、弊社hanairinにも裏地の破れから、ベタ付き、剥がれなどなど、日々たくさんのご相談を頂きます。
そこで、今回は修理の観点からバッグ裏地の構造、素材についてご紹介していこうと思います。

【裏地の素材のおはなし】

お気に入りのバッグを開けてみて下さい。
どんな素材が使われていますか?

バッグには本当に色々な素材が使われています。
本革素材から合成皮革、シャンタン地、布地、はたまた革のバッグなどでは裏地がついておらず、革の裏面が剥き出しのものもあります。

さて、そんなバッグ裏地の素材はそれぞれどんな特徴があるのでしょうか?

●本革裏地
本革を使用したバッグ裏地は、他の革製品で言われているような汚れ落としや保湿といったメンテナンスをすることで大変長く使うことが出来ます。
染直しなど、交換ではなくリペアすることも可能です。
他の素材に比べると高価な革素材である上に、厚い革を裏地用に薄く漉いて使用する手間が掛かるため、比較的バッグの値段が高価になることが多いです。
また、少し重くなることが多いのも難点です。

●合成皮革
合皮素材は、汚れや染みなどに強く素材自体も安価なため、非常に多くのバッグ裏地に使用されている素材です。
ただ、4~5年程で寿命になることが多く、湿気や乾燥などに影響され表面がべた付いたり、ひび割れたりしてきます。
リペアをすることは困難で、裏地交換がお薦めです。

●シャンタン地、布地等
使われている原材料により様々ですが、比重が軽く、安価なモノが多いです。
合皮のように、ベタ付きなどはありませんが、破れやほつれ、毛羽立ちなどが発生しやすい素材もあります。
また水分の浸透には弱いため、バッグ自体が濡れると中身まで濡れてしまいます。
こちらも、破れたり染みたりなどの場合は交換になることがほとんどです。

●裏地無し
革の裏面剥き出しのバッグは、裏地を付ける手間が無いため安価なモノが多く、また縫製する必要がないためシンプルなデザインになることが多いです。
裏面が剥き出しのため、革へのダメージがいきやすくなります。
革の裏面を再現することは不可能なため、リペアも交換も不可能です。

       

【裏地の構造のおはなし】

バッグの裏地は、縫製の都合上素材の厚みや柔軟性、表側のデザインなどに大きく影響を受けます。
そのためバッグ裏地の構造には大きく分けて2つあります。
さて、構造の違いでどんな特徴があるのでしょうか?
見分け方は、バッグ裏地の底を引っ張り出せるか出せないかです。

●内袋(裏地を引っ張り出せる場合)
裏地の底面を引っ張って表に引っ張り出せるものが内袋構造です。
裏地自体は袋状になっていて、バッグの間口のみで縫製されています。
トートバッグやショルダーバッグなどに多く見られます。
縫製は間口だけなので、比較的安価に交換することが出来ます。

●内張り(裏地を引っ張り出せない場合)
裏地の底面を引っ張っても掴めなかったり、表側に引っ張り出せないものを内張りと呼びます。
裏地が、表地の各パーツにそれぞれ張り合わされている裏地構造になっていて、各種、色々なバッグで見ることが出来ます。
交換する場合は、バッグを全て解体しなければならないため、手間暇が掛かり、技術力も必要とされます。

いかがでしょうか?
バッグを買う時は、どうしても表側のデザインに目が行きがちですが、裏地にも目を向けてみて下さい。
今回は修理の観点からのお話で、どれが良い、悪いという事ではありませんが、頭の片隅にでも覚えておいて頂ければ幸いです。